車窓から
久しぶりに長時間一人で電車に乗っている。
片道3時間の長旅。もはや小旅行。
住んでいるところと目的地を線で繋いだらどうってことない距離なのに、交通機関がないためわざわざパリまでいって折り返して向かっている。
目的地はForgesというパリから1時間の場所。ある研究機関のインターンの面接を受けるためで、そこは18世紀に建てられた城の中にあり、主に環境関連の研究をしている。
その中の1つで城のリノベーションというテーマがあり、小さい頃から古い建物の保存に関わる仕事を夢見ていた私には、古い城の外観を残しながら環境に良い建物にリノベするというテーマにとても興味が湧いている。
数週間前のフォーラムでたまたま縁があり、本当は半年以上のインターンしか雇わないと言われたのにも関わらず、粘ってずっと話していたら運良く面接の機会をいただいた。
というのも、私が去年第一志望のプロジェクトに抽選で落ち、たまたまたどり着いた17世紀の病院の移住プロジェクトに目が止まったそう。
世の中何が起こるかわかったもんじゃない、まあまだインターン決まったわけじゃないけど。
テーマはとても面白い。ただ問題は立地。
あまりにもパリから遠すぎる。
基本は城に寝泊まりして研究するそうなのだけど、私は友人とパリ付近に夏の間住む予定だったために悩んでいる。
せっかく長くフランスに残るなら友人と過ごしたいしなあ。
来週もまた別のインターンの面接に行くのだけど、逆にそれはパリど真ん中にある。
ただ環境に配慮した建築設計の会社で、リノベにどちらかと興味が湧いてる私には今日行くところの方が好きなこと学べそう。
そんなことを考えながらひたすら長距離電車に乗っている。
そういえば、片道2時間かけて学校に通っていた中高6年間を除いて、ここまで長く一人で交通機関に乗ることもなかったかもしれない。
日本では自宅が大学から近かったし、フランスではキャンパスに住んでるし。
だいたい遠出する時も友人達とずっといるので、一人でこうやってぼーっと窓の外を見つめることなんてなんとも久しぶりなこと。
意外と悪くないかもしれない。
最近音楽を聴く暇がなかったから、好きなバンドの新譜が聴けて嬉しい。
調べたかったことも調べられたし、面接の準備もしてる。最近一人の時間、あんまりなかったからひさびさに自分の時間ができた感じがした。
パリに住んで遠いところに通ってもいいかもしれない。
長い移動時間に得るものは沢山ありそう。
ま、どうなるかわからないんでとりあえず面接頑張ってきますね
本音と建前
普段ふと思い立ったこと、基本はそのまま忘却の波にさらわれていってしまうのだけど、稀に自分しかフォローしていないツイッターに書き込んでいる。高校一年生の時から空白に本音を書き連ねて早4000ツイート。
先日英語の授業で日本の文化について発表した。(テーマはなんでもよかったのだけど、先生が日本について興味津々だったので半ば強制的にこれになった)
その時に日本人の考え方とGoogleに打ち込んで真っ先に出て来たのが「本音と建て前」だった。
日本で思ったことをズバッと言うと失礼と言われるのに、
フランスだと逆になんで思ったこと言わんの??って言われる。
それでもこの国にいてだいぶ思ったことを人に言うようになったし、日本で人にあまり怒ったことがなかったけどここにきて責任が伴う役職を持ってからは散々人に怒ったり文句を直接言えるようになったと思う。
これでもまだ本音を言い切れてない自分がいるのだけど。
この文化は日本だけな気がする。
ニュアンスや空気を大事にする国。
礼儀と敬意が絶対。
相手を気遣う国...果たして気を使っているんだか臆病なんだか策士なんだかわからないけど、日本の文化ってやっぱり変ねって言われる。効率悪いとも言われる。
この国にいるからにはなるべくこっちのように生きようと思うけど、やはりこの日本人的な性質は抜けない。それは大事なことだと思うし、日本人である以上ある程度自分の中に残しておきたいと思うけど、果たしてそれが良いことなのか悪いことなのか自分の中ではまだ答えが出し切れていない。
日本のこういう文化はあまり好きじゃないけど、完全に否定したくないし美しいものも沢山あると思う。
そういえば先週末久しぶりに日本人と話した時にも言われた。
意外とズバッと思ったこと言うんですね、と。
久々
気づいたら昨年の春からこの日記、全く更新していないみたい。
久しぶりに開いてみた。
誰に向けたわけでもないこのブログ、ふと思い立って始めたけど三日坊主もいいところ。
面倒くさがりだし、あまり自分は文章を書くことが得意ではないし、自分の文章が好きじゃないし、考え方や気持ちが常に変わって行くので少し経って自分の書いた文章が気に入らなくなり、久々に読んだ瞬間ゴミ箱に持って行ったりする。
だから日記なんて、ましてや人に見せるブログなんて全然続かない。
ちゃんと決心しないと、夢中にならないと、あるいは心の中に底なし沼が沸いてないと私は文章を書けない。
人に伝えたいこと、面白いこと、毎日たくさんあるのにねえ
小さい頃はあんなに新聞とか小説とか書いてたのに。
大人になるって悲しいねえ
今日はプロジェクトの日だった。難民を助ける団体を学校に作ろうというプロジェクトなので、沢山難民のことを考えた。いろんな人と話していろんな人に連絡を取った。
難民というとシリアとかスーダンとか考えるだろうけど、実はフランスにくる難民の半数はチベット人。(中国人に追われて逃げて来たチベット人たちは皮肉なことに定職を探して結局みんなブラックな中華料理店にたどり着くらしい)
先週元少年兵だった難民のスーダン人と直接話す機会があった。日本じゃ話す機会なんてないだろうからとても興味深い。
気が向いたらこの話も書こうかと思う。気が向いたら、ね。
自分がフランスで得ているのは全てとても貴重な経験なのに、毎日面白いことだらけなのに、そこで感じたことや発見したことをあまり形に残していないのは勿体無いことだと思う。
ま、思い立ったらまた書きますね。
今からサッカーの練習なのに、外は嵐で嫌になっちゃうね
日曜日の午後
(とあることがあり本当はフランスの男尊女卑、アジア人への軽蔑とかに関する憤りについて書こうとしたのだけれど、途中で面倒になったのと同時にあまりにも重すぎるのでやめておこうと思う。笑)
先週の木曜に最後の授業が終わり、ついに長いようで短かった一年目が終わった。
そのあとはかなりバタバタしていて、急いで荷物を片付けたり(そしたら責任者の勘違いにより自分の荷物が預けられなくなって、出発前に自分の荷物を置いておけるのか未だに定かじゃなくなってしまい困っている。普段あまり怒らないけど本当に腹が立って五人くらいに愚痴ってしまった)、夜通しのお別れパーティーに行ったり、セーヌ川沿いで深夜まで演奏したり、会計の仕事をしたり、その反動で寝まくったり、ようやく落ち着いたのが今日、今この文章を書いているのがその3日後の日曜日、穏やかな午後である。
日曜日の午後、というと必ずある情景を思い出す。
小学校低学年の時、父親と風呂に入った後、ホカホカの状態で見るちびまる子ちゃん、母が支度する夕飯の香り...
平和を何か情景に例えるとしたら私は真っ先にこれを挙げると思う。
両親も風呂もテレビも、あと一ヶ月で会える、楽しみだ。
ちなみにその中でも特に印象的な日曜の午後のお風呂があって、それはベルギーに住んでいた小学4年生の時、父親と風呂に入っていて日本へ帰国することを告げられた時で、ショックで目の前が真っ暗になったのをとても鮮明に覚えている。
そう考えると、もちろん恋しいものも沢山あるけれど、今こうしてまたあの時のようにヨーロッパで暮らせることは本当に幸せだなあ。
ファンファーレ
ブラスバンドだとか演奏だとかちらりと前のブログに登場したけれど、私は学校のファンファーレ(fanfare)に入っている。
実はブラスバンドとは少し違う。
うまく説明できないけれど、ブラスバンドのようにお堅いわけではなくどちらかというと楽器を吹いてどんちゃん騒ぎをする感じ。
私の所属しているファンファーレはトランペット、トロンボーン、サックス、スーザフォン、ユーフォニウムに大太鼓、小太鼓という編成で、電車の中だって公園の前だって、サッカーの試合の横だって、どこでも構わず楽器を取り出して演奏する。
演奏のうまさとかは関係なく、とにかく場を盛り上げることに命を注いでいる。
演奏する曲はだいたい有名なポップとかを編曲したものだ。
私のファンファーレはお金がなくてとにかく年季のある楽器を使っている。スーザフォンは穴だらけでテープでベタベタ、サックスはパーツが足りないし、トロンボーンはめちゃくちゃ汚い。
そんな楽器でやってるもんだから、演奏者の上手い下手は置いといて演奏はめちゃくちゃなのだけど、演奏しながら踊ったり歌ったり叫んだりして場を楽しませている。
そうすると、市場とか観光名所の前で演奏すると喜んで10ユーロ札を置いて行くおばちゃんがざらにいる。
この間なんか休日のオペラ座の前で20人で二時間演奏して400ユーロもらった。
(ちなみに演奏するのに許可なんかいらない。だからパリのそこら中で演奏しているミュージシャンはかなり稼いでいるよ)
この国はストリートミュージシャンに優しいなと思う日々である。
そんな感じで毎週のように街に演奏に繰り出しているのだけれど、それ以外にも企業や団体の案件でお金を支払われて演奏することもある。一回で1500ユーロに酒飲み放題つき、とかよくある。
どうもフランス人のファンファーレの一般的なイメージは酒飲みの集まり、らしくて酒で支払われることが多い。とりあえずビール飲ませれば喜ぶだろみたいなところあるんだろうな。
そんなファンファーレはフランスにいくつもあり、だいたい学校に一つある。地域のおじいさんとかが結成してたりもして、お互いの演奏会に呼び合ったり、街で演奏中に出会った時はコラボなんかもする。フランスのファンファーレの輪は強い。
そんな感じでファンファーレについてはまだまだたくさん語れることがあるのだけどこの辺にしておこう。
日本でも音楽をやっていたけど、ファンファーレに所属したことで音楽で人を楽しませる、喜ばせることの嬉しさに気づいた。
日本でもこういうのあるといいのになあ
Sweet Dreams (are made of this) /The Soul Rebels
走り去って行く5月
最近時間が過ぎて行くのが早い。
気づいたら5月下旬、気持ち的には春休みが終わったばかりだったのになあ。
5月の上旬、悲惨なことがあって、というのもバカンス中に空き巣にあってしまい、委員会のお金の900ユーロを盗まれてしまうということがあった。(未だに警察からも寮の人からも連絡がこない。結局誰がこんなことをしたんだろう。もう二週間経っているというのに)
それで本当にあちらこちらバタバタしていて、せっかくの試験がない二週間だったのにちっとも休んだような気持ちになれなかった。
委員会のお金をなぜ持っていたかというと、私は委員会の会計をやっているからで、夏に向けてまた100万とかお金が動くようなイベントを開催の準備のため予算を立てたり色々買い足したりしなくちゃいけないのにこんな事件である。
正直周りからの圧力も強いし、優しい人もいるのだけれどなかなかキツイものがあった。
どうやら犯人は身内で私のカードキーをこっそり違法に複製したらしいという説があるのだけれど、寮の偉い人は誰も本当のことを言わないし、カードキーは複製できないと言い張っている偉い人に対して、個人的に複製している友達がいると言ったらそいつを本部につまみ出せと言われた。さすがに友達を警察の生贄にするわけにはいかない。
そんな感じでこの空き巣事件に関しては板挟みが多くかなり心の負担だった。
発覚してから一周目はバタバタしていたし何も考える暇がなかったけど二週目で授業のグループワークがうまくいかなかったことも重なってわりと心にきた。
そんなわけで昨日は体調を崩してしまい、
低血圧と低体温で楽しみにしていた二つのイベントにどちらも行くことができなかった。
後からグループチャットに乗せられる楽しそうな写真や動画。公園でピクニック、ダンス、ビール飲み放題に地下鉄内演奏だって。いいなあ。
今も寒気がする。まあ開き直ってるからいいんだけど、どこか疲れてしまってる自分がいる。
授業はあと三週間、試験科目とイベント、やらなきゃいけないことが山のようにある。
ビザの更新が一番面倒そう。
この先もあっという間なんだろうけどどうにかめげずに頑張りたい。
そういえば、最近悪いこと続きだったけど今日自販機で炭酸水買ったら一緒にチョコレートが落ちてきた。少しの幸運。
あとなんか頼んでなかったのに結局優しい友達がプログラミング課題助けてくれた。
そうやって少しずつ、運が上がって行くといいなあ。
服買いてー
Boy/踊ってばかりの国
一風堂に行ってラーメンが好きになった話。
とても平凡なタイトルだけど、私にとって一風堂に行く、ということほど特別なイベントはない。
パリで外食はとても高くつくから、何か特別なことがない限りまず行かない。
ラーメン屋さんに行くなんてなんて贅沢なことだろうか。
行くことになったのは突然のことである。
今週末は学校で大きなスポーツの大会が開かれており、北はリールから、南はマルセイユまで色んな学校が集まっていた。
そこで私は同じ留学プログラムでマルセイユのグランゼコールに通っている友人と再会するのである。
彼はかなり一風堂(とんこつラーメン)に行きたかったようで、私の学校に着いた金曜深夜に無理矢理行こうとしていたほどである。
結局、土曜午後に突如時間が空いたみたいで、私もたまたまブラスバンドの演奏がひと段落して暇だったから、一緒に行くことになった。
私にとってラーメンは、日本にいた時から自分からはまず食べに行かないくらい、どちらかというと苦手な食べ物である。
小学生の頃に関しては完全に嫌いな食べ物に入っていたため、家族とラーメン屋に行っても一人で餃子と米を食べていたほどである。
だからこちらに来てもラーメンを自分から食べに行くことはまずなかったのだが、せっかく友人に誘われた食事である。快諾した。
オペラまで出て、その後散歩がてら一風堂までテクテク歩いた。
天気があまり良くないのと夕方という微妙な時間だからか普段の休日のパリ中心部に比べて街に活気はなかったが、それでも多くの人が休日を満喫していた。
そんなこんなで着いた一風堂(実はオペラよりもシャトレにだいぶ近かったのを着いてから知った)、日本語を使いたがりのフランス人店員が出迎えてくれた。
おそらく日本語を勉強しているかアニメとかが大好きな学生なんだろうな。
注文していると一人の店員がまかないのラーメンと生ビールを持ってテラス席に繰り出していた。いいなあ。
一風堂は初めて食べたのだけど、正直めちゃくちゃ美味しくて、また明日も食べたいと思った。私がラーメンに対してこんな感情を抱くなんて思ってもいなかった。
スープが日本の味で恋しくなったんだろうか。
ただ一杯14ユーロ(約1800円)はかなりの贅沢品だなあ。
帰りはシャトレから電車に乗ってキャンパスに戻った。その友人とは二人きりで話すのは初めてだったのだけれど色々な話をして面白かった。
学校に着いてから、さっきいたオペラでテロが起きたことを知った。
実に自分たちが到着してから四時間後のことである。
実に非日常な一日。
So Good At Being In Trouble / Unknown Mortal Orchestra